家庭用3Dプリンターを買おうにもどれを買えばいいのかわからない。
どれくらいの精度で出力できるのか?出力時間はどれくらいなのか?ランニングコストはどれくらいか?
こんな悩みを解消すべく3Dプリンターを徹底比較してみました。
今回製品を比較するに当たり、3Dプリンターメーカー様に出力協力依頼を打診しました。
そして、FLASHFORGE、abee、ストラタシスジャパン(Makerbot)(敬称略)にご協力いただくことができました。
それでは各3Dプリンターのスペックを見ていきましょう!
1.3Dプリンターのスペック
■Finder(FLASHFORGE)
出力方式 | FDM(熱溶解積層法) |
出力サイズ | 140×140×140mm |
積層ピッチ | 0.05~0.3mm |
造形マテリアル | PLA |
重量 | 10.75kg |
価格 | 79,000円 |
■SCOOVO X9(abee)
出力方式 | FDM(熱溶解積層法) |
出力サイズ | 230×200×170mm |
積層ピッチ | 0.05mm~ |
造形マテリアル | PLA/ABS |
重量 | 約18kg |
価格 | 226,800円 |
■Replicator(Makerbot)
出力方式 | FDM(熱溶解積層法) |
出力サイズ | 246×152×155 mm |
積層ピッチ | 0.10mm~ |
造形マテリアル | ABS |
重量 | 16kg |
価格 | 339,800円 |
見ての通り、今回は3製品の価格が大きく異なりますので、その点を踏まえて以下読んでいただければと思います!
2.ルールとデータに関して
2-1.ルール
2点ほどルールを設けさせていただきました。
1.出力時にサポート材を使用しない
2.出力後の追加工はなし
裏を返せばこの2点を守る範囲であればなんでもしてOKということです。
今回、出力経験が豊富な各3Dプリンターメーカーの方々に出力をしていただきました。
各担当者が考える最適な設定下で出力していただきたい!と思ったからです。
2-2.データ
本稿を作成するに当たり、3Dayプリンターさんにデータ作成の協力打診をしたところ快諾していただけました。
完成予想はこのような感じです。
(Makerbotさんが参考までにと大きめの造形物を出力してくださいました。)
「曲面や確度などサンプルとしてよく使われるデータ」だそうです。
ここで、今回ご協力いただいた3Dayプリンターさんの紹介をさせていただきます!
3Dayプリンター
業界最速クラス、3日で届く3Dプリンター出力サービス 当サービスは産業用3Dプリンター保有企業・団体とのネットワークを構築し3Dプリントサービスを提供しております。
3Dプリンターの非稼働時を活用することで、従来よりも短納期・低価格で3Dプリントサービスを提供します。 また幅広いネットワークを活用し「データ作成」から「後加工」までワンストップでご提案が可能となります。 また自社コンテンツとして、声が指輪になる「encode ring」や ペット事業者の新サービス「pet fig partner」を運営しており 今後も3Dプリンターを活用した新しいコンテンツをリリースしてまいります。
3.出力品を徹底比較
まず実際に出力していただいたものを見てみましょう!
左からFinder、SCOOVO X9、Replicatorによる出力品です。
今回出力時間、ランニングコスト、精度という3つの観点で比較をしていきたいと思います。
3-1.徹底比較:出力時間編
出力時間編では、単純に造形物を出力するためにどれくらいの時間がかかったかを比べます。
出力設定(積層ピッチやノズル速度など)により出力時間は大きく変わってくるので、目安程度に見てください。
Finder(FLASHFORGE) | 30分 |
SCOOVO X9(abee) | 81分 |
Replicator(Makerbot) | 54分 |
過去の経験から1時間強程度で出力が終わるかなと考えていたのですが、、、
Finderが異常なほど早いですね。
SCOOVO X9が遅いわけではないです。Finderがはやすぎるだけです。。。
3-2.徹底比較:ランニングコスト編
3Dプリンターの購入を検討する方々にとって維持費がどれくらいかかるのかということは、気になるところですよね。
そこで今回の造形品を出力するのにどれくらいの費用が掛かるのか計算してみました。
フィラメントの価格(1kg当たり) | 重さ | 今回の出力費用 | |
Finder(FLASHFORGE) | 5000円 | 2.8g | 14円 |
SCOOVO X9(abee) | 4,981円 | 3.2g | 16円 |
Replicator(Makerbot) | 12,000円 | 8.49g | 101円 |
1kg単位で販売していないところもありますが、わかりやすく1kgあたりの価格を出しています。
ここでもFinderの強さが光りますね。
3-3.徹底比較:精度編
精度編ではチェックポイントを5つ(数字・英字・橋・柱・不純物)設けました。
造形物のどの部分がどのチェックポイントを指すかは下記画像を見てください。
赤が数字、オレンジが英字、黄色が橋、が緑が柱を指しています。
今回★(☆)5つ満点で各ポイントを評価していきます!
それでは5つのチェックポイントをみていきましょう。
3-3-1.チェックポイント1:数字
Finder(FLASHFORGE)
SCOOVO X9(abee)
Replicator(Makerbot)
どの出力品も形にはなっています。3.4.5と数字を識別することができます。
FinderとSCOOVO X9に関しては文句ありません!
Replicatorはでっぱりの部分がうまく出力できていないようです。ヘッドの動いた跡が見受けられます。それでも許容範囲でしょう!
評価(★5つで満点) | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★★★ |
SCOOVO X9(abee) | ★★★★★ |
Replicator(Makerbot) | ★★★★☆ |
3-3-2.チェックポイント2:英字
Finder(FLASHFORGE)
SCOOVO X9(abee)
Replicator(Makerbot)
真ん中右のオレンジ色で囲んだところに注目してください。
どの造形品も完全には出力できていません。
それでもFinderはtとrの間がつぶれた以外はおおむねうまくいっています。
SCOOVO X9では完全に英字がつぶれてしまっています。うっすらctrlVという文字が見て取れなくもありませんが。。。
ReplicatorではctrlVの識別が可能です。本来あるべきでないところに隙間ができてしまっていることは減点材料でしょう。
評価(★5つで満点) | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★★☆ |
SCOOVO X9(abee) | ★★☆☆☆ |
Replicator(Makerbot) | ★★★☆☆ |
3-3-3.チェックポイント3:橋
Finder(FLASHFORGE)
SCOOVO X9(abee)
Replicator(Makerbot)
向かって一番奥が橋です。
ここの部分の出力もなかなか難しかったようです。
Finderでは一部欠損しています。残っている部分を見るとなかなか頑丈にできているだけに残念です。
SCOOVO X9では端から端まで橋がしっかりとかかっています。橋の厚さには一貫性がありませんが、かかったことは評価に値するでしょう。
Replicatorでは橋を支える端の柱が離れてしまいました。宙ぶらりんですが、橋はかかりました。橋の柱の部分に難ありです。
評価(★5つで満点) | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★☆☆ |
SCOOVO X9(abee) | ★★★★☆ |
Replicator(Makerbot) | ★★★☆☆ |
3-3-4.チェックポイント4:柱
Finder(FLASHFORGE)
SCOOVO X9(abee)
Replicator(Makerbot)
一番奥のななめっている6つの箇所が柱の部分です。
Finderに関しては文句なし!
SCOOVO X9では柱の根元の部分が少し太くなってしまいました。また柱のてっぺんに小さなフィラメントの塊ができています。
Replicatorでは柱の太さがほぼ均一で出力されました。しかし横から見ると粗さが際立てしまいます。
評価(★5つで満点) | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★★★ |
SCOOVO X9(abee) | ★★★★☆ |
Replicator(Makerbot) | ★★★★☆ |
3-3-5.チェックポイント5:不純物
Finder(FLASHFORGE)
赤字矢印に注目してください。Finderのみ異物の混入がみられました。樹脂が透明だけに目立ちますね。
評価(★5つで満点) | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★★☆ |
SCOOVO X9(abee) | ★★★★★ |
Replicator(Makerbot) | ★★★★★ |
3-3-6.精度評価まとめ
星の数をまとめてみます!
評価 | |
Finder(FLASHFORGE) | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
SCOOVO X9(abee) | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
Replicator(Makerbot) | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
精度の面ではFinderが優勝としてもよさそうです!
4.まとめ
ここまで3種類の3Dプリンターについてみてきました。
個人的な感想としてはFinderがここまでやるのかととても驚きました。価格の割に素晴らしいクオリティを見せてくれました。
今回比較した項目のほかにも、各製品にはいいところ・悪いところがあります。今回の比較だけをもとに良し悪いを決めてはアンフェアでしょう。
ですので皆さんでもっと詳しい製品情報を見て、そのうえでどの3Dプリンターが自分にぴったり合うのか考えてみてください!
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